「あっ!危ない!」早めに気づいて良かった…

こんな経験ありませんか?保育園は子どもたちの「命」を預かる、大変な仕事です。
ちょっとしたことが大きな事故につながることもありますから、保育士さんは気が抜けないです。

保育園に潜む「危険」についてリサーチしてみました。保育園の安全管理のページです。

保育園には危険とヒヤリハットがいっぱい

「ハインリッヒの法則」というものがあります。アメリカの損保会社勤務のハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが発表した1件の大きな事故が起こったら、その背景に29件の軽い事故があり、さらにその背後に300件のヒヤリハットがあるというものです。

最後の「異常」はよく言われる「ヒヤリハット」に置き換えてもいいですね。

冒頭でも触れましたが、ヒヤリとした・ハッとしたというのは保育士さんのほぼすべての方が経験されているのではないでしょうか?

保育園の日常の中にも危険は潜んでいます。園内・お散歩、年齢別の危険の3つに分けて詳しくご紹介します。

ヒヤリハットとは?

ヒヤリハットとは、思わず「ヒヤリ」としたり「ハッ」としたできごとを指します。一歩間違えると、大きな事故につながる可能性がある危険な場面のことです。

実は、1つの事故には300件ものヒヤリハットが潜んでいると言われています。

例えば、2017年度の保育施設での死亡事故は13件。これらの事故の背景には、約3900件以上のヒヤリハットが潜んでいたと考えられます。
3900件もあるヒヤリハットに気づかなかった、もしくは気づいても放置してしまったために、重大な事故が起きてしまいました。

このような事故を未然に防ぐために、子どもの命を預かる保育園では、ヒヤリハットの報告がとても重要になってくるのです。

保育士のヒヤリハットで大切な3つのこと

ここでは、保育士のヒヤリハットで大切なことを3つ紹介します。

1.「子どもにとって危険か」を基準にする

「これはヒヤリハットなのかな?」と困ったら、「子どもにとって危険なことか」を基準に考えてみましょう。保育士の感覚だけを基準にしてしまうと、「危険」という感じ方に個人差が出てくるからです。そうすると、ヒヤリハットの見落としが生まれてしまいます。

保育のヒヤリハットは、子どもを主体にして判断しましょう。

2.ヒヤリハットは早めに報告しよう

ヒヤリハットと判断したら、すぐに他の職員にも報告しましょう。報告しておけば、危険性を共有できるからです。危険性を共有すれば、どこに注意するべきか分かるため、事故を格段に減らせます。

臨時で入る職員やパートさんなどにも、「目を離さない」「注意して見てほしい」ところを共有しておきましょう。

3.他の保育園で起こったヒヤリハットも知っておこう

ヒヤリハットは、なるべく多くの例を知っておくことが大切です。自分では気づかなかった危険について、知ることができます。

人は、直接目で見たり、事前に対応を知っておかないとなかなか対応できないもの。「他の保育園だから関係ない!」と切り捨てずに、「自分の保育園でも同じ事故は起こらないかしら」と事故を未然に防ぐ例として、読んでおきましょう。

保育園で起きやすいヒヤリハットやその対策について紹介していきます。

保育園で起こりやすいヒヤリハットの例と対策

転職支援サービス会社「ウェルクス」が保育士を対象にアンケートを行ったところ、保育園で起こりやすいヒヤリハットは次のような結果になりました。

それぞれ具体的な例と対策を見ていきましょう。

転倒

散歩先の公園で、3人の子どもが手をつないで歩いていた。すると「かけっこしようか?」と1人が提案し、そのまま走り出した。
すると、足がもつれて1人が転倒、それに重なる形で残りの2人も一緒に転倒した。
今回はすり傷だけですんだものの、手が引っ張られることで脱臼したり、子どもたちの体重が重なることで骨折する可能性もあった。

【対策】
・子どもたちにも、脱臼しやすいから気をつけようと伝える
・腕は引っ張らないと注意する
・手をつないで走ることは、危険だと言い聞かせる
・ 手をつないだら、ゆっくりと歩くように声がけをする

衝突

・子どもが走っていて、棚や木に衝突した。
・子どもが走って廊下を曲がろうとしたとき、子ども同士でぶつかった。
・荷物を運んでいると、子どもが足元に抱きついてきた。ふらついてこけそうになり、子どもにぶつからないか、イスや机に自分がぶつからないかヒヤリとした。

【対策】
・子どもたちが衝突がしやすい場所を把握して、1つの地図にしておく
・ぶつかりやすい家具の角には、クッションなどの緩衝材をつける
・足元にあるオモチャ箱やイスは、運ぶ前に片づける
・厚いジャージは避けて、子どもの存在を感じやすい服を着る
・前髪はしっかりとまとめる

遊具を使用していたときのケガ

・ブランコの前を子どもが走って通り抜けようとして、危うくぶつかるところだった。
・ブランコ中に手を離してしまい、頭から落下。口を歯で切ってしまったが、すかさず保育士が止血した。他の子どもも近づけなかったことで、大事には至らなかったが、打ち所が悪かったり、落ちた後さらにブランコで頭をぶつける危険があった。

【対策】
・想定外の遊びをしたときは、危険だと伝えてやめさせる
・遊具の点検は、日ごろから行っておく
・危険性が高い遊びをするときは、必ず近くに保育士がつく
・ブランコが動く範囲にフェンスを設置する

食物アレルギー

小麦アレルギーがある子どもに臨時保育士が、他の子どもに渡していた小麦入りクッキーを配った。
気づいてとっさに防げたものの、アナフィラキシーショックになる可能性もあったと思うと、ヒヤリとした。

【対策】
・調理、教室への受け渡し、子どもへの配膳のときに、何人かで指さし確認する
・アレルギー対策の食事は、色つきの食器にするなど、見た目で分かるようにする
・子どもの名札のところにアレルギー食材を書いて、他の職員にも、事前に注意するよう求める
・アレルギー除去食を先に配る

とくに注意しなければいけないのは、「息ができなくなる」こと

とくにヒヤリハットで注意しなければいけないのは、子どもの息ができなくなることです。
呼吸は、子どもの命に関わります。発見の遅れが命取りになるため、注意して子どもの様子を見ておきましょう。
とくに次の3つのヒヤリハットには注意が必要です。

のどに詰まらせる

おやつの時間にリンゴを食べていた子どもが、急に苦しそうにした。
一瞬だけチアノーゼになったため、応急処置で背中をトントンしたが、口からは何も出なかった。救急車で病院へ向かったが、肺には空気が通っていたため、「異常なし」と診断された。

【対策】
・一口サイズで吸い込みやすい食品は、すりつぶす

・必ずそばに保育士がついて、子どもに食べさせる
・子ども一人ひとりの噛む力や飲み込む力を把握して、担当する保育士で共有しておく

睡眠時無呼吸症候群

朝から子どもの表情や体調が、いつもと違っていた。
お昼寝中も気になったので、そばについて見守る。呼吸や目の動きに変化があったため、すぐに他の職員と保護者へ連絡。
すぐ救急車を手配して、大事には至らなかった。

【対策】
・ 保育士同士で連携をとり、子どもの持病を共有しておく
・ 朝の登園で、変化を見逃さない
・家庭での様子を聞き、起こりうるリスクについて把握しておく
・子どもの体調や表情、動きに変化がないか見逃さない
・昼寝のときは、コンスタントに呼吸をチェックする

ヒヤリハットの共有ができずに、起きてしまった死亡事故

最後に、ヒヤリハットの共有ができず、死亡事故を防げなかった例も紹介します。

子どもがオモチャの果物を口に入れたのを保育士が発見して、「だめ」と止めた。
「簡単に口に入るんだな…」と思いながらも、誰にも話さなかった。
帰りのお迎えの時間、少し目を離したら、別の子どもが同じオモチャを口に入れ、窒息で死亡した。

オモチャの危険性を他の保育士にも共有しておけば、自分が目を離しても別の誰かが止められたかもしれません。

このように、小さな情報でも共有することは、事故を防ぐためにとても大切なのです。
それでも、20%の保育士は自分が働いている保育園で「ヒヤリハットの共有ができていない」と感じています。

子どもを守るため、そして自分自身を守るためにも日常生活に潜むリスクを保育士全員で共有して、安全な環境を作っていくことが必要です。

保育園の危険①園内

保育園内で危険な場所をご紹介します。

トイレ

実はトイレは小さい子供にとっては意外に危ない場所なんです。

濡れた床で滑って転倒や、トイレ用洗剤の誤飲、便器に座っていて前のめりに転倒(子どもは頭が重いため)といろいろ危ないことがあります。

考えただけで恐ろしいです。

遊具やフェンスに激突したり、園児同士が衝突したり、他にも夏場なら園庭に置いたビニールプールなどが危ないですね。

事故を未然に防ぐには、基本中の基本ですが子どもから目を離さないことが一番です。
保育園で子どもが命を落とす痛ましい事故の多くは、保育士が目を離したすきに起こっています。

保育園の危険②お散歩

お天気のいい日には、近くの公園などにお散歩に行く保育園が多いのではないでしょうか?
この楽しいお散歩も、気を付けないと思わぬ事故が起こりかねません。

行き帰り

例え近くの公園だとしても、公道を通るのであれば車や自転車、歩行者に気を付けなければいけません。

子どもは突然走り出したり、いきなり逆戻りしたりこちらが想像した通りには動いてくれません。
ちゃんと見守るのは当然ですが、お散歩に行くのを交通量の少ない時間帯にするなどの対策も必要です。

公園

子どもたちが大好きな公園の遊具ですが、手を挟まれた・首が抜けなくなったなどのトラブルは良くありますし、滑り台や鉄棒からの転落にも気を付けたいですね。

夏の注意点

夏、外に出る際には熱中症や日焼け、公園の遊具の金属部分によるやけどといった季節特有の危険にも注意しなければ行けません。

外に出る時間には十分に気を使い、こまめな水分補給を促しましょう。(プールで遊んでいると意外と忘れがちです!)注意報が出ていれば室内で遊ぶようにした方が良いですね。

不審者

もう一つ、最近は不審者にも気を付けなければいけません。

公園にはどんな人がいるか分かりませんから、園庭で遊ぶ時よりも周りを良く見渡して、挙動不審な人がいないかをチェックしましょう。

もし男性保育士が在籍していれば、不審者が近付かないための抑止にもなりますから是非同行してもらいましょう。

保育園の危険③年齢別

年齢別に見た危険な場所や事柄とその防止策をご紹介します。

0歳児、1歳児

0歳児は、まだ横になっている時間がほとんどなので大きな危険は無さそうですが、例えばオムツを交換する際にベッドなど高い位置でする場合に、目を離したすきに転落する事故もあります。

他にも、おもちゃなどの誤飲も良くあるトラブルですし、つかまり立ちをしようとして転ぶことも多いですね。

乳児は自分で身を守れませんから、保育士がそばを離れないことが大事です。

2歳児

2歳児はそろそろトイレトレーニングが始まる時期です。

園内の危険でも書きましたが、トイレでのトラブルはかなり多いので、園児がトイレに行く際、必ず付き添うようにしたり、誤飲の恐れや窒息の恐れのある物は子供の手が届かないところに置きましょう。

3歳以上

3・4・5・歳児はかなり行動的ですから、元気よく走り回るので転倒や衝突といった危険が増します。

他には、ハサミや鉛筆、クレヨンなどの道具でケガをしてしまうこともあります。木登りやジャングルジムなどでの転落事故も後を絶ちません。

もし、危ないなと思っても「やめなさい!!」や「危ない!」と、急に大きな声で叫ばないようにしましょう。子どもはビックリして手を離してしまうことが良くあります。

ゆっくり落ち着いて「危ないから降りようね~」くらいの呼びかけがいいかも知れません。

危険を察知して事故を防ごう!

事故を起こさないためには

危険を察知して対策をすることで、事故は防ぐことができます。

まずは危険な場所を特定し、危険因子を取り除くことで事故のリスクは大幅に減らせます。できるだけ園児から目を離さないようにし、スタッフ間の情報共有もしっかりしてみんなで危機管理意識を持ちましょう。

他にも、日頃から近隣の会社や商店、子供会や自治会などとも親しくしておくことで何かあった時にもサポートが受けられますし、不審者対策としても有効です。

保育園の危機回避について「うちの保育園は大丈夫」と楽観していると大きな事故が起こってしまうかも知れません。常に危険の存在は、心の片隅に置いておきましょう。
ヒヤリハット事例を見るだけでも、子どもの動きは予想外で、目が離せないということがよく分かります。そのため、保育士がよく経験するヒヤリハットは「どんなときに起こるか分からない」と肝に銘じておくことが大切です。

元気いっぱいの子どもたちにケガはつきもの。しかし、一歩間違えれば大きな事故になることもあります。

子どもも自分も守るために、普段から注意深く子どもを観察して、大きな事故を防ぐようにしましょう。